B to Bマーケティングでホットワード化しているマーケティングオートメーション。
今回は、リードナーチャリングの観点からマーケティングオートメーションを紐解いていきます。

目次
〇そもそもリードナーチャリングとは何か
〇なぜ、今リードナーチャリングが注目されているか
〇リードナーチャリングを行うメリット
〇ではどうやってリードナーチャリングを実践していくのか
〇まとめ

そもそもリードナーチャリングとは何か

B to B マーケティングが体系化するにつれて、リードナーチャリングという言葉が注目を浴びるようになってきました。
「見込み客(リード)に適切なタイミングで適切な情報を発信することで、長期的にフォローし、関係を築いていくこと」がリードナーチャリングの意味ですが、具体的にどういうことでしょうか。

営業の現場を想像してみてください。

例えば毎月のノルマを抱えた10人の営業部隊がいる組織で、一人あたり月30件の新規訪問を行うとしましょう。
受注率が平均10%だとすると、訪問後の受注件数は月30件、未受注件数は月270件になります。
2ヶ月、3ヶ月と稼働を重ねるにつれて540件、810件と溜まっていく未受注リストの数は、1年間に換算すると3,240件にも及びます。

1年間で溜まったこの3,240件の未受注リストは、ノルマ達成のために新規案件の対応を優先する営業担当からすれば、優先的にアプローチしないゴミリストとして放置されることになります。

この放置されたゴミリストの中から、キラリと光る原石、つまり案件化する企業を見つける、または創りだすことがリードナーチャリングの本質といえます。

なぜ、今リードナーチャリングが注目されているか

リードナーチャリングが注目されるに至った背景を理解することで、効果的なリードナーチャリングを行うヒントが見えてきます。
ここでは、なぜ今リードナーチャリングが注目されているのかを見ていきます。

Webサイトコンテンツの充実に伴うインバウンドマーケティングの隆盛

ホワイトペーパーや動画資料、ソリューション提供事例など、企業がサイトを通じて提供できる情報が増えるに従って、営業担当によるプッシュ型のアプローチだけでなくプル型のインバウンドマーケティングが注目されるようになってきています。

インターネットの技術進歩に伴う取得可能情報量の増加

IPアドレスや閲覧ページ、参照元ページや検索ワード、滞在時間などの情報が取得できるため、見込み客が何に興味があってサイトに訪れているのかが判別可能となっています。

見込み客の中の整理による優良見込み客の発見

見込み顧客を獲得する方法は、セミナーや展示会での名刺交換や電話・Webの問い合わせなど多岐にわたりますが、上述の通りアプローチできる件数には限りがあります。
限られた工数で最大限の成果を出すために、無秩序に保管されている見込み客を整理して、原石を探す必要があります。

リードナーチャリングを行うメリット

リードナーチャリングを行うメリットは、下記2点に集約されます。

営業担当の対面機会と工数の削減

対面することなく顧客の購買意欲を醸成できるような仕組みをつくることで、営業担当が闇雲に訪問する工数を減らすことに繋がります。
訪問に要するリサーチや資料作成の時間を、他の案件化している見込み客対応に注ぐことができるため、営業成果の向上も期待することができます。

有効な見込み客を見極め

自社に興味を持っている顧客であれば、サイトでの情報収集など、何らかの能動的なアクションがあります。
それらを可視化することで、営業対象として適切か判断できますし、関心を持っている分野をある程度把握したうえで営業時のコミュニケーションを設計できるため、営業を効率化することが可能です。

ではどうやってリードナーチャリングを実践していくのか

従来、企業からのアプローチはマスを対象にした一方的な情報の流れが主流でしたが、情報が溢れ、見込み客が能動的に情報を得られるようになった今、いかに見込み客と良好な関係を築くか、が非常に重要になってきています。
B to CだけでなくB to B領域においてもマーケティングの潮流となりつつある、One to Oneにパーソナライズされた情報発信がキーとなります。

このOne to Oneマーケティングの実現により見込み客との良好な関係を築いていくことが、リードナーチャリングを実践するということです。

具体的な手順は、下記の流れで行います。

(1)顧客のセグメンテーション

B to Cでは性別や年齢、ライフステージ、ライフスタイル、価値観などの様々な軸を検討したうえで、その商品やサービスにふさわしいセグメントを見つけていきます。
B to Bでは企業規模や業種、所在地などの産業統計的な変数や、プロダクトやサービスの性質・使用状況などの様々な軸を検討したうえで設定する必要があります。
決裁権者、必要とする時期、予算額などの情報を元にセグメンテーションを行うことで、重要な見込み客を抽出することもできます。

(2)顧客の購入プロセス設計

商品の魅力を適切に伝えるためには、顧客が購入に至るまでのどのプロセスにいるか明確にし、プロセスに応じて適切なアプローチをする必要があります。
たとえば、検討初期段階の顧客に契約に関する情報を発信しても購入意欲を増すことには繋がりません。
顧客の購入プロセスを設計し、次のプロセスに進めるためにはどのような情報が必要かを明確にしておく必要があります。

(3)スコアリング

顧客をサイト上の行動履歴や属性情報によって自社への興味関心度を点数で表現します。
スコアに応じて次にどのようなアプローチを取るのが最適かを判断し、スコアが高い顧客であれば営業のアプローチが響く可能性が高く、成約する可能性の高いホットリードであるといえます。

(4)シナリオの設計・実行

企業起点のOne to Oneとは、伝えたい内容と蓄積した履歴データを元に、顧客毎に最適なタイミングで、最適な情報提供を行い、自社及び自社製品に対する理解や信頼を深めます。
同時に、例えばメールであれば、開封状況などの反応によってスコアリングに反映させます。
また行動履歴の分析やスコアに応じてメールマガジンのコンテンツを差し替えるなどしてセグメント毎のコミュニケーションシナリオを設計し、そのシナリオに従ってチャネルを横断したコミュニケーションを実現します。

まとめ

リードナーチャリングのゴールは、顧客が購入の意思決定をするために必要な共感・信頼を勝ち取ることです。
組織としてのマーケティング力を高めるためには、マーケティング部だけでなく営業部との連携を行いながら、誰に、何を、どのように行い、何を実現するのかを明確にして、アプローチするターゲット企業と自社製品の市場における位置づけを全部署で共有する必要があります。

また収集されるデータ量が膨大になるに従って、リアルタイムなデータを利用し、リアルタイムな顧客の状況変化に対応する顧客起点のOne to Oneが主流になっていきます。
最適なタイミングで最適な情報を届けることがリードナーチャリングの成功の鍵を握っています。

[参考記事]
リードナーチャリングで見込み顧客を増やす!

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Editor Profile

  • 福井 和典

    株式会社データX マーケティング管掌執行役員

    日本IBMにてシステムエンジニア、GREEにてCRM領域のオペレーション企画、PwCでの業務コンサルタントとしての経験を経て、2016年よりデータXに入社。データX入社後は、カスタマーサクセス部門に在籍し、小売/金融/アパレル/ECなど幅広い業種に対するb→dash導入支援を統括。
    その後は、主にb→dashのマーケティング/広報/PR活動や事業企画に従事。

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