2017.09.26 (Tue)
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【イベントレポート】 スポーツマーケティング3.0 ~データマーケティングでスタジアムを満員にする~ マーケティングイベント「Marketer’s Night」を開催 ~横浜DeNAベイスターズ躍進の裏に隠されたデータマーケティングの成功の秘訣~

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 マーケティングプラットフォーム「b→dash」の開発・提供を行う株式会社フロムスクラッチ(本社:東京都新宿区/代表取締役:安部泰洋、以後フロムスクラッチ)は、9月12日に横浜DeNAベイスターズの経営・IT戦略部 部長の木村洋太氏をお招きし、マーケティングイベント「Marketer’s Night」を開催いたしました。当イベントは募集開始後3日で300名を超す応募が集まりました。当日は、抽選で決まった約90名の方々に参加いただきました。

 プロ野球の横浜DeNAベイスターズ(以後、DeNAベイスターズ)は2011年12月の誕生以来、右肩上がりの観客動員数を記録しておりますが、そこには緻密なマーケティング戦略に基づく様々な取り組みがありました。同球団のマーケティングを実践した当事者である、株式会社横浜DeNAベイスターズ 経営・IT戦略部 部長 木村洋太氏をお招きし、スポーツ業界内外から注目を集めるマーケティング戦略についてお話頂きました。本リリースでは、一部の内容に限られてしまいますが、当日の様子をレポートいたします。

■観客動員数最下位からの脱出

 横浜DeNAベイスターズは2011年に前身の横浜ベイスターズを買収したことにより、誕生した球団です。しかし、当時は年間の来場者数が約110万人という12球団で最も少ない観客動員数、座席稼働率も半分ほどしかない状況で、チーム成績としてもセ・リーグで最下位を争う状況でした。そのような状況を打破すべく、球団を盛り上げるためのマーケティング戦略を策定・実行しました。                                                                                         

 結果的に横浜DeNAベイスターズになってからは来場者数が5年で76%も増加し、年間の稼働率も93%まで上昇しました。それに伴って売上も倍増し、営業利益に関しても赤字から黒字になりました。また、チームの成績も年々向上を続け、2016年には11年ぶりのAクラスとなり、初めてのCS進出も達成しました。

■マーケティング基盤構築への一歩

 横浜ベイスターズ時代はマーケティングデータを全く取得・蓄積していなかったため、データを活用した施策を策定、実施をすることが非常に困難な状況でした。そこで、まずは集客の起爆剤となるような話題作りから始めました。「100万円チケット」や「全額返金チケット」など、今までのプロ野球界の常識を打ち破る施策を実施することにより、スポーツ新聞で大きく取り上げられ、世間から注目を集めることに成功しました。

 単発の施策は成功したものの、まだマーケティングの基盤は全くと言って良いほど整っていない状況でした。例えば、チケット・グッズ・演出等それぞれの担当者がターゲットと考えているところへ施策を打っていましたが、一貫性がなく、認識のずれが生じていることが課題でした。そこで、最初のベースとなるマーケティングの戦略の一つ目として、全社で共通のターゲットを設定しました。

■全社共通のターゲット「アクティブサラリーマン」の誕生

 まずは神奈川県民の中でベイスターズファンがどのくらいいるのか、データ分析に加え、来場しているお客様に声をかけてインタビューを実施しました。各種調査の結果、20代・30代男性の増加割合が多く、さらになぜ来るようになったのか、誰と来るようになったのかヒアリングすることで、コアな戦略ターゲットが見えてきました。

 野球観戦は居酒屋談義の延長線上であり、勝敗に関係なく、野球場の雰囲気が好きな20代後半から30代の男性を「アクティブサラリーマン」としてコアターゲットにしました。さらに、基本属性や観戦スタイル、趣味としての野球との関わり方など、キャラクターを細かく設定し、様々なバックグラウンドの社員がいる中で各自、周囲の知人と重ね、ターゲットをイメージしやすいようにしました。徹底した「アクティブサラリーマン」の設定により、様々な具体的施策が活発に討論され、「アクティブサラリーマン」を社内で共通言語化することに成功しました。

 「アクティブサラリーマン」はSNS等で発信することが好きで、交友関係が広く男女問わず友達が多い、というキャラクター設定をしています。そのため、仕事帰りに職場の仲間と野球観戦を楽しめるよう、「ビール半額まつり」や「ハマスタBAYビアガーデン」を実施しました。他にも、昔はプロ野球に憧れを抱いていたことも想定し、「夢のプロテスト」や「遠投大会」など実際にグラウンドで野球ができるイベントも開催することでメインターゲットを中心とする多くの層が観客として増加しました。

■なりたいブランド像を考える

 マーケティングに本腰を入れ始めた当初、球団内に「目指すべきブランドイメージ」というものが明確にありませんでした。また、「広島」から連想されるキーワードとしては“カープ”があがってくるものの、「横浜」から連想されるイメージとしては中華街やみなとみらいが挙がり、ベイスターズは横浜のアイコンになっていないことが課題でした。そこで、マーケティング戦略の二つ目として、球団が横浜のアイコンになれるよう、理想のブランドイメージを設定することにしました。 

 まずは横浜ブランドにDeNAベイスターズをシンクロさせるため、横浜に対するイメージ調査を実施し、その後横浜の上位イメージと球団イメージ、どれほど同じなのか答え合わせを行いました。結果として、横浜の上位イメージである「海と港の街」、「国際的で異国情緒のある街」、「おしゃれで洗練された街」というのはDeNAベイスターズに対するイメージと大きく乖離があることが判明しました。横浜市民から心底愛される球団・球場を目指し、ギャップを埋めるためのブランド構築に向けたアクションを行いました。

 横浜のイメージ1位である「海と港」というイメージをDeNAベイスターズにも持ってもらおうと、社内の認識を合わせました。施策としてはまず、基準の色として港を連想させるような色を設定しました。それに伴い、選手ユニフォームのデザインやカラーを一新するだけでなく、球場で働くスタッフの服装や球場のシートカラーも変更しました。さらに、汽笛の聞こえるシーンを増やしたり、汽笛の音がする観戦用応援グッズを開発したりと、球場にいると「海と港」を連想させるような施策を行いました。

■他球団には真似できない施策を続々と

<コミュニティボールパーク化構想>
 球場を家族や友人と気軽に集まって楽しめる場にしようという取り組みで、最初は観客席一番上の埋まりにくい立ち見席だったところへ、バーカウンター風の座席を用意し、ビールサーバーを設置して、「アクティブサラリーマン」が友達・同僚と飲む場として使える席「スカイバーカウンター」や、家族で来る際に小さい子供がいても安心できる「リビングボックスシート」などを新設。また、野球を本格的に楽しみたい人向けにはブルペンやベンチの様子、試合のハイライトが見られるタブレットを設置し、野球談議ができる「モニターBOXシート」も設置しました。これらの席は飛ぶように売れ、なかなか球場に足を運ばなかった層を取り込むきっかけになりました。

<ドキュメンタリー映像作品の制作>
 チームの魅力をもっと知ってもらうため、普段の観戦では見ることのできないベンチ裏や、監督と選手のミーティング風景などでカメラを回し、球団の裏側も知ってもらいました。このように、ファンに球団としてのストーリーを共感することによって、さらにDeNAベイスターズへの想いが強くなり、根強いファン層を増やすことができました。

■日常生活にある、さり気ない野球

 さらに、日常生活で野球やベイスターズを親しんでもらうため、大々的にベイスターズのロゴや色を使わないグッズの新展開を始めました。もちろん、試合時にユニフォームを着て、飲食をしてもらうことは球団を経営する上で大切です。しかし、ホームゲームは年間約70試合しかありません。そこで、ロゴや色でDeNAベイスターズと一目で分かるグッズばかりではなく、日常生活で活用してもらえるような普段使える野球に関する遊び心のあるグッズを販売することで、今後さらなる売上拡大を目指していきます。

 

【Marketer’s Nightとは?】

 マーケティングで大成功を収めている企業や団体の担当者を講師としてお招きし、様々な領域のマーケターやマーケティングに興味のある人々が学び、情報交換をしてネットワーキングをはかるための場です。

 

【b→dashの導入事例はこちら】

https://bdash-marketing.com/case/